ルビコンを渡る
2008.07.01 Tue 20:46

青梅市職員の横領事件発覚
イタリアに「ルビコン」と呼ばれる川があります。ローマ帝国の防衛ラインと見なされてきました。武装した軍が、そのまま越えると、国家に対する反逆とされました。
ローマ帝国の英雄カエサル(英名ジュリアス・シーザー)が、ガリア(現フランス)を遠征中、娘婿のポンペイウスとの対立が激化します。紀元前49年、カエサルに出された武装解除命令に対抗して、母国ローマへ進軍します。ルビコン川にさしかかり、カエサルは迷います。「賽(さい)は投げられた」という有名な言葉を発して、カエサルは川を渡ります。ポンペイウス軍を破り、ローマ支配権を手中にしました。以来、『重大な決断』を「ルビコンを渡る」と表現するようになりました。 政治家や企業不祥事にも、「ルビコンを渡る」瞬間があったはずです。偽装表示の会社経営者や汚職した議員は、決断の重大さを認識していたでしょうか。慣例や業績などを重視して、ルビコンをいつのまにか越えてしまったのではないでしょうか。
本来の使命や会社経営の社会的責任の重さより、自身の保身を優先した結果です。
残念ながら青梅市でも、生活保護費の職員横領が発覚しました。過去にも当職員は事件を起こしており、これまでの懲戒処分が甘かったのではとマスコミでも報道され、市行政への不信をまねきました(6月11日付本人免職。市長、上司は減給処分)。今後、現金の事務処理の適正化や懲戒処分の公表基準見直しなど再発防止に、早急に取組みたいと思います。
ルビコン川は、現在も川幅は数メートルだそうです。カエサルが英雄たる理由は、決断の時とその重要さを知っていたことです。経営者の最大の資質は、「ルビコンを渡る」瞬間を感じる感性と責任感ではないかと思うのです。
後になって、賽(さい)ではなく、「さじを投げた」などということにならないように・・・